【ディスクレビュー】20190828 coldrain 「THE SIDE EFFECTS」

 

今回は

 

日本のラウドロックを代表するバンド

自身初の武道館公演から早1年半、

2年ぶりのフルアルバムとなった

 

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2019年8月28日発売
coldrain
6th Full Album
「THE SIDE EFFECTS」
のレビュー


となります。

 

 

外観

 

 

もう一度ジャケ写を貼る。

 

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そう、

 

今回のフィジカルCDは特殊仕様となっており、

パッと見ではどういう構造なのかよく分からなかった。

 

実際どうなっているのかというと、

 

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歌詞カードの右下が透明になっており、そこからCDが直接見えるようになっている。

 

不透明な左上部分は写真のように折り畳まれており、

開く前と後で別の歌詞が見えるようになっている。

 

 

音楽流通の主流がストリーミング配信になった昨今、

フィジカルCDには何かしらのスペシャル感をつけてないとなかなか買ってもらえないということなのだろうか。

 

自分の狭い知識の中でも

 

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Bring Me The Horizon 「amo」

が、今回のcoldrainとかなり似た仕様になっている(らしい)し、*1

 

 

昨年リリースの

 

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Survive Said The Prophet 「s p a c e [s]」

の透ける歌詞カードもそうだし、

 


04 Limited Sazabys*2
”シングル”と称して

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を売ったとか。

 

こんな風にアーティスト側も色々と工夫してくれているので

ストリーミングどうこうはさておき

手に取る側としては単純に楽しい。

 

 

各曲レビュー

1 MAYDAY (feat. Ryo from Crystal Lake)


CLのRyoとのコラボ曲にしてアニメ「炎炎ノ消防隊」とのタイアップ曲。

Ryoのグロウルが地上波に響き渡る

 

アニメ側からは本曲を使用したPVが公開されてはいたが、

先日バンドとしてのMVも公開された。

 

www.youtube.com

 

 

アニメPV

www.youtube.com

 

 

アニメOP(期間限定公開)

www.youtube.comBメロのシャウトのところで映像可愛い系なのは笑う

 

 

"MAYDAY"と聞いて勝手に5月1日労働者集会を想像していたが、

ここでいう"MAYDAY"というのは

船などの遭難を知らせる信号のことらしい。

イントロで「メーデーメーデーメーデー…」って言っているのがそれ。

 

曲調としては、非常にcoldrainらしい曲。

サビの映えるハイトーンメロディと、アグレッシブなパートのコントラストが気持ちいい。

曲の後半ではCLのRyoも参加し、圧巻のグロウルでアグレッシブさに拍車をかけている。

アニメなのに?アニメだからこそ?洋画の主題歌的な壮大な曲。

 

歌詞に"fire"とか"burn"とか入ってるのは

タイアップ先がそういうアニメだからなのだろうか。

ちなみに"burn one's bridges"で「関係を断つ」「退路を断つ」みたいな意味らしい。

 

 

 

2 COEXIST

 

今作の先行配信シングル第2弾。今年7月5日に配信開始&MV公開。

 

www.youtube.com


民族音楽的(?)なギターのイントロから始まる、

アップテンポではあるが、歌をしっかり聴かせるタイプの曲。

サビの跳ねるようなリズムが面白い。

 

歌詞は戦争について書かれていて、

どうして人は争うのだろうか、

どうして共存する道を選べないのだろうか?

というメッセージになっている。

 

 

 

3 SEE YOU

 

ミドルテンポのじっくり聴かせるタイプのやつ。

個人的にはcoldrainのこういうミドルテンポの曲が好きだったりする。

前作でいうと『R.I.P.』とか。

 

歌詞に

「成長してビッグになることを夢見てた、

その中でどんな人たちに会えるのか夢見てた、

でもそれよりも今はただ君に会いたい」

というような部分があるが、

海外の有名バンドとも共演してきたcoldrainがそこまで言っちゃえるのか、意外。

 

 

 

とか言ってたら書いている間にMasato結婚してたし。

 

 

 

4 SPEAK


再びアグレッシブなナンバーへ。

ライブの情景が思い浮かぶという点で言えば今作の中でも一番かもしれない。

ジャンプにヘドバンに大盛り上がりになりそう。

サビ頭のシャウトをSugiとRxYxOが叫んでいるのも思い浮かぶ。

 

歌詞に出てくる"blue pill" "red pill"というのは何を象徴しているのだろう?

 

 

 

5 THE SIDE EFFECTS


全12曲中5曲目というなんともいえない位置に置かれたタイトルトラック。MVあり。

 

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MVにはダンサーがフィーチャーされているが、

このダンスの振り付けを担当しダンサー達を率いた Reika Ando という方は、

なんとMasatoとKatsumaの中高の同級生であるらしい。

 

www.instagram.com

 

 

曲調に関して、

 

タイトルトラックとして

激しい曲(俗に言う「ブチ上がる曲」)ではなく

こういうタイプの曲を入れてくるというのは、

今までのcoldrainからすると珍しい気もする。

 

この曲を通してcoldrainの今後の方向性や姿勢が表現されているのではないだろうか?

 

タイトルトラックというだけあって、

歌詞も今作の中で最もcoldrainの本質に迫ったものになっている。

 

全体的にメッセージ性の強い言葉遣いになっているが、

特にサビ頭のこのワンフレーズ

 

"we are the side effects"

「俺達はこの世の副作用」

 

「この世のゴミ」とかならまだわかるけど

「この世の副作用」って何だよと。

 

ただ、ここで出てくるこの "the side effects"というのが

この曲のタイトル、

更にはアルバムのタイトルにまでなっていて、

今作のキーワードになっていることは間違いない。

どういう意味なのかが気になるところ。

 

 

 

6 JANUARY 1ST


バラード曲。なのにMVあり。

 

www.youtube.com

 

 

ロックバラードではなくて完全にずっと静かなタイプのバラード。

Bメロのメロディの跳躍する感じはJ-Pop感もするが、

サビのメロディは洋楽っぽく感じる。

 

歌詞をはじめて読んだときは

「失恋ソングだな」

と思っていたが、

 

MVのコメント欄で

「共に戦った仲間を失ったときの曲、例えるならPTPのKみたいな」

というコメントがあり、

なるほど確かにそういう解釈もできるなと。

 

 

 

7 INSOMNIA


静謐なピアノのイントロから始まり、

Aメロの静かな感じ、

サビのメロディアスな感じ、

間奏のめっちゃ弾くギターソロ、

ラスサビ後の激しく叫びまくるパート、

(Masatoには珍しいガテラルっぽいめっちゃ低い咆哮も聴ける)

と、ドラマチックな展開の曲。

妖しげなコード進行も相まって、全体的に夜を感じる曲に仕上がっている。

 

個人的にはラスサビでY.K.Cのギターがストリングスの如く入ってくるのが好き。

 

 

 

8 ANSWER/SICKNESS


発売前にタイトルだけ見て

『Never Look Away』みたいな二面性のある曲だと予想していたが

そんなことはなかった。

 

歌詞によると、

人間の将来は自分たち自身の行動によっていくらでも変わる、

人類は"ANSWER"にも"SICKNESS"にもなりうる、

という意味のよう。

 

曲調としては、

アップテンポでブレイクダウンもあるような曲だが、

雰囲気としてはダークな感じではなく、疾走感のある曲。

 

サビ終わりの"the answer or the sickness"のところのメロディが妙に頭に残る。

2番サビ直前と間奏のブレイクダウン後の「3音を繰り返すところ」がユニーク。

 

 

 

9 BREATHE


個人的には今作で一番意外だった曲。

浮遊感のあるイントロから始まり、

電子音も入っていたりして、

一曲通して明るい雰囲気の曲。

Masatoの歌い方も攻撃的な感じではなく優しい感じになっている。

 

歌詞も

「生きることを諦めるな」

「希望は必ずある」

というようなポジティブなものになっている。

さしずめcoldrain流応援歌といったところか。

 

 

 

10 STAY THE COURSE


明るい雰囲気の曲が続く。

この曲はアコギが映えるロックバラード。

 

ロックバラードといっても、

前作の『STAY』や『UNINVITED』のような苦しみを訴えかけるような暗い感じではなく、

聴いていてリラックスできる感じ。

 

個人的に好きなのがアウトロのめっちゃワウっているギターソロ。

こういう曲調だとY.K.Cのギターソロが一層心に沁みる。

 

 

 

11 REVOLUTION


レベレーションではなくレボリューション。

 

アーケードゲーム機動戦士ガンダムEXVS.2」とのタイアップ曲。

 

なおかつ配信シングル曲でもあり、

昨年12月には配信が開始されていた。

今年1月にはMVも公開。

結果的に今作の先行配信シングル第1弾という形になった。

 

www.youtube.com

 

ゲームのオープニングムービー

www.youtube.com

 

 

シングル曲かつタイアップ曲というだけあり、

アップテンポでアンセム感のある曲。

そして今作随一のシンガロング曲でもある。曲冒頭いきなりシンガロングだし。


既にライブでは何度も演奏されており、

ここ最近のフェス等では定番曲になっている模様。

個人的にはサビ頭で縦ノリになるのが "らしさ" あって好き。

 


12 LI(E)FE


アルバムのラストを飾る曲。

そして、

メロディ・曲の展開・スネアドラムの入り方・サビ直前のギターフレーズ など

色々な側面から見て、

今作イチのポップな曲。

 

歌詞は昨今の「インスタ映え」文化への批判であろう。

写真を過剰に盛って他人からのリアクションに一喜一憂するのではなく、

写真には収めきれない「本物の人生」を生きろ、

というメッセージになっている。

 

そして、このメッセージの象徴として付けられているのが

"LI(E)FE"

という皮肉の効いたタイトル。

 

 


総評


以上12曲、

様々な曲調の曲が収録されたアルバムとなっているが、

初めて一周通して聴いたときの所感は

 

「あれ?coldrainってこんなに歌モノのバンドだったっけ?」

 

そう、メロディを重視した曲が多い。

 

タイアップ曲『REVOLUTION』『MAYDAY』と

『SPEAK』『ANSWER/SICKNESS』あたりを除いた8曲は

どれも歌モノと言ってよいのではないだろうか。

 

最近のcoldrainにここまで歌モノに寄せたアルバムあったか?と思い、

旧譜を聴き直してみることに。

 

前作「FATELESS」は

頭2曲『ENVY』『FEED THE FIRE』が激しい系だから激しいイメージがついていたが、

フルで聴き直してみると確かに今作くらい歌モノだった。

 

「VENA」、「The Revelation」あたりは

リード曲以外にも激しい曲が結構あって、全体として激しい印象。

 

(「The Enemy Inside」、「Final Destination」までいくと音楽性が違いすぎて単純比較不可な感じもする)

 

ということは、coldrainが今後進みたいのはこういうメロディアスさを重視した方向性なのだろう。

 

個人的な感想としては、

歌モノ聴くテンションのときに聴くと「Masatoの歌冴え渡ってるなあ」ってなれて、

逆にゴリゴリのメタルコアとか聴きたいときに聴くと「なんかパンチねえなあ」ってなる、

そんなアルバム。

 

歌モノメインだとライブのときどうなんだろうという気にもなるが

それは今度のライブで確かめてこようと思う。

 

というわけで11/6新木場行きます。

 

 

2019年8月28日発売
coldrain
6th Full Album
THE SIDE EFFECTS

 

Track List (Key,BPM)

1 MAYDAY (feat. Ryo from Crystal Lake) (♭Bm, 121)
2 COEXIST (♯Gm, 138)
3 SEE YOU (Dm, 99)
4 SPEAK (Cm, 130)
5 THE SIDE EFFECTS (Fm, 141)
6 JANUARY 1ST (F♯m, 75)
7 INSOMNIA(Cm, 82)
8 ANSWER/SICKNESS (Em, 121(242?))
9 BREATHE (E♭m, 132)
10 STAY THE COURSE (Cm, 102)
11 REVOLUTION (Dm, 148)
12 LI(E)FE (F♯m, 115)

*1:筆者は海外バンドを聴くようになったのが最近で、「amo」の現物は未所持。賛否両論あることを知っていながら聴いておらず、割と最近聴き、これは好きとか嫌いとかいうより「教養」だなと思った。なので今度出る日本盤は買います。

*2:個人的にフォーリミはそんなに好きじゃなかったりする